2024年5月2日放送の「プロフェッショナル 仕事の流儀」は
「プロフェッショナルスペシャル 世界を子供の目で見てみたら~漫画家 青山剛昌」でした。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
今回は「名探偵コナン」で有名な漫画家の青山剛昌さん(60)です。
連載30年。累計発行部数2億7千万部。
世界32か国で出版。
2023年5月撮影スタート
・自宅兼仕事場にて
・ゲームの中で6時間かけて作った潜水艦を取材陣にみせてくれる子供のような大人
・これまで取り入れたトリックはおよそ300にのぼる
コナンの事件のトリックはどう作られる?
・編集者2人が集めた最新科学や雑学や手品に片っ端から目を通す
・青山先生が気になったものは実際に実験したり、その商品を購入したり
専門の方に質問する
・編集の人と話しながら、事件の舞台やトリックについて決めていく
・30年の間にトリックは出尽くしているため、新しいネタを見つけるのは大変である
トリックはもっと編集の方に任せているのかと思いきや、
あくまでネタを出してもらってそこから青山先生が想像力を膨らませて、
事件の舞台やトリックのアイデアを考えていくスタイルでした。
編集者の方も大変だとは思いますが、そこから話を作っていく青山先生も
すごいですね!
事件の舞台とトリックができるまで:その①
<トリックの元ネタ>
・紅茶のティーバックの袋を取り出して筒状にしたものを燃やすと飛ぶ
→人魂に見せる
<事件の舞台>
・架空の寺、折檻部屋、坊主
・事件が起こった部屋には取っ手がない隠し扉がある
・磁力で開閉できる
・変わったものが磁石になっている→数珠
<取材①トリックとなる仏具>
・実際に仏具を扱う店に行き、数珠についてお店の人にいろいろと質問
→数珠の数は決まっているか?
→数珠の数が足りないと気付くか?
磁石製の数珠が散らばり、それをコナンたちが見つけるという伏線を思いつく
子どもは頭がいいので、簡単に描いちゃうと、子どもだましというか
なめられちゃう 子ども扱いしない
信じてますね、子どもを
<取材②舞台>
・アイデアが出た翌日に、さっそく高尾山へ
・絵の構図や現場の空気感などを探す(スマホで写真撮影)
トリックと舞台の取材が終わってからおよそ1か月半後、3話分48ページの物語が
完成。
コナン関連グッズのチェックは自分で行う
・毎日のように持ち込まれる企画や関連商品の数、年間数千点以上
・忙しくても細部にまで自分で目を通し修正する
コナンの顔のイラストを青山先生が直すと、ああこっちが本物のコナンだなって
顔になっていました。
さすがです!
カラー作業のこだわり
・パレットは洗わずに継ぎ足しで使う
・一発勝負で色の濃淡だけで質感を出す
・顔の色や輪郭もいいと思えばどんどん変えていく
30年前の連載当初のコナンと今のコナンが並ぶと違いは一目瞭然ですね。
変えるって怖いと思っちゃいますが、それをできるのがすごいところですね。
取材陣が青山先生に作画風景の撮影を申し入れ
作画の撮影は一度青山先生から断られている
そこはちょっと 何か 謎にした方がいいかなと
・ネーム(物語を組み立て絵を描きこんでいく作業)は人がいるとできないと言う
・無人カメラでオンオフができるならという条件で撮影許可が出た
事件の舞台とトリックができるまで:その②
<トリックの元ネタ>
・ルーバーレンズ(光の屈折を利用したレンズ)
→姿が見えないトリック、怪盗キッドが登場する
<事件の舞台>
・金庫の中
・コナンが金庫に入ると怪盗キッドと死体が1つある
・コナンはキッドを新一に化けさせ2人で真相を追う
<青山先生の自撮りにて>
・深夜ソファに寝そべり2時間考える
事件が始まったら10本ぐらいのラインがあって、
そこから1本ずつ選んでいく感じです
1本選んで途中まで行ってこれはまずいなと思ったら違う方に行ったり
打ち合わせでエピソードとトリック決まるじゃないですか、大体の
あれをどう持っていったらいちばん効果的かなって
・ラフと言われるより大まかな設計図を書き始める
・ラフの次はネームに取り掛かる
・コマ割りや絵のアングル、セリフ、無限の組み合わせから最も伝わるものを探し出す
・ネームづくりに取り掛かると外との関わりを断ち徹夜も辞さない
・キッドが扮した新一と蘭が鉢合わせし、会えないと愚痴を言う蘭に言うセリフに迷う
・怪盗キッドを追う探偵白馬が「本当に君は工藤新一なのか?」と言う
ラストカットを加える
・できたネームを早速編集者に見せる
いちばん最初の読者ですからね 編集に見せる時が
一番ワクワクドキドキですね
・編集者の反応がいいとこれでいくということで、ネームを元に下書きし、
ペンを入れる
この時は2か月で4話分、64ページの物語ができました。
青山先生はティッシュを置いて鉛筆書きのネームが汚くならないようにしていました。
またペン入れの時は紙の端を指を立てて固定したり、ティッシュを置いていました。
首を回したり、「ふうー」と言いながら手を動かし続けていました。
7年前から連載を半分以下に減らすが、1日18時間書き続けています。
このような生活を37年間続けています。
毎回毎回 前の自分を超えたいですね
俺以外の人がどんなすごいミステリー描いても 何とも思わない
人は人 自分は自分なんで
もう漫画しか描いてないからな 人生の半分以上ですね
人生ささげてやってきてますね
青山先生の秘めた過去
本名:青山剛昌 鳥取県北栄町生まれ
・小学生のころ、「名探偵ホームズ」に夢中になる
・「踊る人形の秘密」が面白かった
・小人が踊るような暗号が実は文字になっている、辞書を調べたり
人に聞いたりしながら読んだ
・高校生の頃、剣道部に入って部活のランニングで海岸沿いを走った時、
波のきれいさに目を奪われた
この波描いてみたいな
俺は絵描いたほうがいいんじゃねと思って
・剣道部を辞めて美術部へ入った
・上京して大学で美術を学び、漫画研究会に入る
何が楽しかったかわからないぐらい 楽しかったですね
・持ち込みを始めて2年、23歳でプロデビューした
・翌年に連載を持ち、他の仕事も舞い込み、忙しい日々を送る
・30歳の時、「ミステリーものをやらないか」と出版社から提案される
ちょっと不思議要素を入れたいんで 名探偵がちっちゃくなるぐらいならいいかなと思って
・連載開始から人気が爆発し、3時間ぐらいしか寝られない
もう来る日も来る日も カラーカラーカラーで カラー描いて大変だったな
「俺ならもうちょっとうまくする」とか やってみろよって思うんですけど
そういうのを言われすぎて嫌になっちゃって
・それでも描き続けていると、映画化が決まる
映画? コナン愛されてる
・映画は大ヒットし、毎年のように映画化されるようになった
・2015年手術と入院という長期療養を余儀なくされる
→「名探偵コナン」連載から21年、初めての長期休止することに
無でしたね 無 死んじゃったらやだなというのもあんまりないし
・もう描けない可能性もある中で、気づくとペンを握っていた
→どうしても残したい物語(工藤新一と毛利蘭の出会いの物語)があった
本当はちっちゃい新一君は素直なんだよって ひねくれてないんだよって
蘭ちゃんはこんな子だったんだよ
新一君はこんな子だったんだよっていうのを分かってほしい
これをこの世に残さなきゃなと思って 残すまでは死ねないなと思ったので
・始まりから終わりまで初めて自分が思い描いたように描けた
子どもの気持ちを忘れたらだめだなって
子どもだったときに ホームズを読んだ気持ちを思い出しながら
・退院から9年、今では仕事のペースをかつての半分ほどに抑えている
(ここまで続けてこられたのは)ファンのためですかね
ここまでくるとファンのためとしか思えない
終わらせなきゃなとは思いますけど
事件の舞台とトリックができるまで:その③
この一作が先を示す重要な回になると考える
<トリックの元ネタ>
・特定の図形でアルファベットを表現できる古い暗号
→サイコロと図形を組み合わせるアイデア
・鳥のように羽ばたく紙飛行機
→打ち合わせではアイデアが出ず
高いビルの端っこをすごい全速力で走っている感じ
すごい景色はいいけど 落ちたら真っ逆さまだぞって
<事件の舞台>
・誘拐事件
・コナン達がやぶれた紙飛行機のメッセージを受け取る
・警察に連絡
→破れた紙飛行機のメッセージは「エミリは や たすけて」ではなく
本当は「エミリは やねうら たすけて」というアイデアを思い付いた
<青山さんの自撮りにて>
・後半のネームに取り掛かる
・1話16ページで4ページ折り紙の折り方に費やす、わかりやすい折り方の
見せ方を考える
・ナースコールで犯人をあぶりだす
・コナンの行動が何者かに盗聴されているという謎を仕掛ける
その後編集者の言葉からラストシーンの場所を変更
・後日できた絵をパソコンで細部を修正をひたすら繰り返す
子どものままですね 成長してないかもしれない
成長しなくてもいいし
プロフェッショナルとは
俺のこと プロフェッショナルと認めてくれるならですけど
どんな窮地に陥っても その状況を面白がれる人が
プロフェッショナルだとは思います
★★★★★★★★★★★★★★
青山先生は体が大きくて黒い服が多いので、コワモテな雰囲気がありました。
でも実際にはとても穏やかで優しい人でした。
自分の描くものをすごく客観的にみられているんだなと思いました。
一人でネームを黙々と考えて、一人で向き合う姿勢がかっこよかったです。
アシスタントさんの姿が全く見かけませんでしたが、もしかしたら
リモートとかかなと。
カラダを大事にして、コナン最後まで描き切ってほしいです。
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