2024年8月31日(日)の「新プロジェクトX」は
「祈りの塔 1300年の時をつなぐ国宝薬師寺東塔全解体修理」を見ました。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
国宝薬師寺東塔。
今から15年前の2009年、創建以来初の全解体工事が行われた。
木材が傷み、腐り、白アリに食い散らかされていた。
一万を超える材料を取り外し組み直すという難工事だった。
薬師寺
天武天皇が皇后の病気に際して建立を発願。
本尊は薬師如来 病気平癒の寺として知られる
創建以来残っているのは東塔だけだった。
東塔の木組みをもとに金堂、西塔、大講堂を再建した。
薬師寺の再建が進む
・1976年 金堂再建
・1981年 西塔再建
・2003年 大講堂再建
次は東塔という声が上がるも国宝の修理は国や県がかかわるため簡単には決まらない。
2012年ついに東塔の解体修理が始まることとなった。
宮大工 石井さん
・岡山で工務店の家に生まれる
・薬師寺の宮大工棟梁だった西岡さんに弟子入り
・西岡さんのチームはやりがんなを使いこなす一流の集団
・10年修行して亡くなった西岡さんの跡を継ぐ存在に
・仕事に自信を持つようになるが西岡さんの言葉が心に残っていた
創建当時の工人の心になって仕事をしなさい 宮大工棟梁の西岡さん
・東塔再建の依頼に備えて他の仕事を受けない、妻が家計を支える
・東塔再建中、妻が病にかかり仕事を終えて家に帰ると家事をこなした
・東塔の仕事に祈りを込めた
それで少しでも妻の人生が長引くなら もしかしてよくなるなら
それに代えられるなら 僕は何でもやりますという思いで仕事してましたね
宮大工の石井さん
・東塔再建後、妻は残念ながら亡くなった
国宝の再建とは
・国宝の修理はこれまでの再建とは違い、できるだけ部材を残す必要がある
・東塔の1万3千の部材をすべて確認し補修することに
・心柱はスペシャリストに依頼
東塔の問題点
・傷みが激しい
(心柱は根本から腐り空洞が約3メートル近くあった)
屋根を支える部材に見えた工人の心
・部材の切り口が一振りで削られたことに驚く
恥ずかしくない仕事をしたいとか 自分をよくみせようとか
そういう思いが(自分は)仕事に出てくるんですけど
東塔の仕事には一切ないですね 宮大工の石井さん
・病や天災を前に人々にはなすすべがなかった1300年前、あの一振りの切り口にはまっすぐな祈りが込められていたのではないかと思った
自分の身に代えてでも この塔を建てます
だからこの地を安穏の地にしてくださいと
みんながそういう思いでやったから 宮大工の石井さん
信仰の要である心柱の再建
・柱の修理は通常なら傷んだ部分をある程度切り落とし、根継ぎをして修理する
・担当した松本さんは部材を切らずに使う工法を考える
→腐食部分だけを削りとり、段を付けて加工、下から同じように加工した木材をはめる
・2015年心柱の修理が開始
・1年後段を付けた心柱の補修部分をはめ込んだ
・2017年1月心柱立柱式を迎えた
奈良県文化財保存事務所 松本さん
・心柱の修理を担当
・30年以上、名だたる文化財の修理を受け持ってきた
・心柱の腐食部分を削っているとき歯を食いしばったら奥歯が割れる
難題だった水煙の再建
・心柱の頂上に取り付けられる銅製のシンボルである水煙に破損が見つかる
(地上に舞い降りる天人たちがかたどられている)
・修理には限界があり全く同じものを製作することが決まる
・古代と同じ原料を調合、鋳型造りでは複雑なパーツを200以上組み合わせた
・2018年10月に薬師寺の僧侶がきて読経が流れる中一発勝負の鋳造を行った
伝統工芸高岡銅器振興協同組合理事長の梶原さん
・名だたる寺社の仕事を手掛け日本の伝統を守ってきた
・ゆがみや錆のある状態を完全に再現することを求められた
・15の会社の100人近い人に協力を求める
2019年9月東塔の再建
・9割の部材を活かすことができた
・2023年4月国宝東塔の落慶法要が行われた
・東塔にはのべ10万を超える人々の写経が収められている
→無数の人々の祈りを受け止めながら塔は立ち続ける
新プロジェクトX 毎週土曜午後7時30分~ NHK総合
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