2022年6月20日(月)の「100分de名著」は安倍公房の砂の女の3回目「人が順応を受け入れるとき」でした。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
司会:伊集院光、安部みちこ(NHKアナウンサー)
朗読:町田啓太
解説:ヤマザキマリ
伊集院さんはこの番組で取り上げる作品に対してあえてまっさらな状態で感じるようにしているそうです。
自分はこの作品を全く知りませんでしたが、このヤマザキさんと伊集院さんによる解説は面白かったです。
今回のあらすじ
砂の穴に閉じ込められた仁木順平は脱出を試みるが、水を絶たれていることに気づく。
乾きに耐え兼ね配給された焼酎を飲むと梯子を作るといって建物を壊そうとする。
女ともみ合ううちに女の服に手が入ってしまう。
仁木は女と体を重ねますが、何も変わらない。
水をもらう変わりに砂を掻く作業をしながら、仁木は脱出に成功しますが、結局はまた砂にはまり元に戻された。
ポイント①「でも、都会の女の人はみんなきれいなんでしょう?」
伊集院さんは怖いと言っていました。
仁木もこのセリフを聞いて一瞬冷静になるものの本能には逆らえませんでしたね。
伊集院さんもヤマザキさんもこの発言をした段階で女はすることを前提で言っていると読んでいました。
伊集院さんはここから先はそう簡単に逃げられないぞという得体のしれない感じがすると、ヤマザキさんも自分に触れた段階で男が逃げられないのは確定だと踏んでいたと予想します。
伊集院さんは一度は冷静になったのに結局はしてしまったうえに、その後気持ちがすーっとテンション低い感じを感じるそうです。
伊集院さんも言っていましたが、Eテレで話す内容とは思えないですね💦
ヤマザキさんも笑っていました。
ポイント➁「よし負けた!仕方がない・・・負けてやるよ・・・」
仁木は砂を掻かなければ水がもらえない現実を受け入れる演技をしているとヤマザキさんは見ています。
ヤマザキさんは焼酎も作戦で、仁木は村人が予想した通りに行動していると解説します。
火の見やぐらから見ているというのは現代の監視社会にも通じていて、「砂の女」は社会の縮図を揶揄しているそうです。
仁木がいたのは現代社会、砂の穴は過酷な環境で生きる社会であって、このような過酷な場面でグローバリゼーションや民主主義は機能するのかとヤマザキさんは問いかけます。
ポイント➂「いざ仕事にかかってみると、思ったほど抵抗は感じられないのだ。」
あがらうというのは精神力を使うことで、その気力がなくなってきているとヤマザキさんは解説します。
伊集院さんは不自由だけど安定していると言います。
ラジオ=外部からの情報=スマホでネットが見れる
鏡=自分の存在=自撮り
砂の穴の生活を完結させる必須アイテム
こう考えると現代社会に通じるものがありますね。
これがあれば、生きていけるって感じがあります。
ポイント④「まあ、いずれ人生なんて、納得ずくでいくものじゃないだろうが・・・」
ヤマザキさんも伊集院さんも仁木の精神力はもうぎりぎりまできているだろう、理想と諦めと妥協があるといいます。
伊集院さんは仁木がこのような発言を言う相手がいる、女との距離は結構近いのではないだろうかと考察しました。
今回の名言は過酷な状態で民主主義は機能しないという伊集院さんの発言
ルールも倫理観も知性も命が保障されていないと機能しない。
極端な貧富の差がないことの大切さ。
命の危機がないことが前提じゃないと通用しない。
今回はここまででした。
次回が砂の女の最後の回です。
仁木がどうなってしまうのか楽しみです。
100分de名著 毎週月曜夜10時25分~ Eテレ
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