2022年8月25日(木)の「英雄たちの選択」は「北条義時・チーム鎌倉の逆襲」でした。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
今回のゲスト
坂井孝一さん 創価大学教授 中世史を専門に研究
「鎌倉殿の13人」の時代考証を担当
中野信子さん 脳科学者 東日本国際大学特任教授
井上章一さん 国際日本文化研究センター所長
北条義時といえば、今年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の主人公です。
義時は鎌倉殿のイメージしかないのですが、歴史上では「陰謀を張り巡らせる冷酷非情な男で有力御家人を討ち滅ぼし、父さえも追放した」という男だそうです。
しかし近年の研究で違った顔があったのではと言われています。
今回のゲストがイメージする北条義時像とは?
・自身が持っていないカリスマ性は姉北条政子で補った
・才能のある友人と連携してやっていく
・政治家として辣腕だった(武勲があった訳ではない)
・押し上げられたリーダー
井上先生が入るとこの辺りの考察はぐっと面白くなりますね。
鎌倉殿の13人の由来
・源頼朝が落馬事故で急死した後に将軍職についた源頼家を補佐するために宿老13人の合議制を敷いた
★梶原景時ら(武将6人)
★大江広元ら(文官4人)
★北条時政(頼家の縁者)
★比企能員(頼家の縁者)
★北条義時(頼朝の家子代表)
【波乱その一:宿老同士の主導権争いが始まる💦】
✖梶原景時→梶原一族ごと滅ぼされる
✖比企能員→義時の父時政により謀殺
✖源頼家→将軍の座を追われ暗殺
【初代執権北条時政が絶大な権力を握る】
源実朝を三代将軍として征夷大将軍につけ、後ろ盾につく
✖畠山重忠→謀反の疑いがあるとして滅ぼされた
【北条時政が新将軍の擁立を画策したのを聞き義時が動く】
→時政は自分の娘婿を擁立しようとしていた
→北条政子、大江広元、三浦義村の協力で時政を追放
⇒二代執権 北条義時として合議制を敷く
【波乱その二:後鳥羽上皇との対立】
きっかけ:三代将軍源実朝に世継ぎがいない
→後鳥羽上皇の親王を次期将軍にすると密約を得る
→源実朝暗殺
→後鳥羽上皇に使者を出すと摂津国の地頭職の解任を幕府に命令した
→幕府が断ると親王ではなく公卿の子を将軍に送ると返事
承久の乱が勃発 後鳥羽上皇が幕府に戦いを挑む
「北条義時の追討」を命令
→標的を義時のみにすることで幕府内の内部分裂を図る
自分以外の御家人にも密書が届くことを察知(三浦義村)
→朝廷の密使を捕らえ後鳥羽上皇の院宣を奪う
→幕府を壊滅させる策略だと見抜く(大江広元)
→御家人に対し一世一代の演説(頼朝への忠誠心や御家人の権利を奪う朝廷の不当な命令に立ち向かうよう奮起させる)(北条政子)
どのように朝廷と戦うか:義時の選択
一 朝廷軍を迎え撃つ(御家人の多くが支持)
二 京に攻めのぼり朝廷軍を撃つ(大江広元、三善康信主張、北条政子支持)
磯田さん、中野さん、井上さん 二を選択
・時間が経つほど朝廷の権威(院宣)が聞いてくる
坂井さん 一を選択
・上皇という雲の上の存在である朝廷軍に対してはこれがやっとである
→義時は二 京に攻めのぼり朝廷軍を撃つを選択
幕府軍は北陸道、東山道、東海道の三方から攻め込み、朝廷軍に完全勝利、後鳥羽上皇は隠岐の島に流される
義時はその二年後に亡くなりました。
ゲストの方の意見としては後鳥羽上皇には油断があったのだろうという見立てでした。
一方義時の勝因としては、京の事情に精通している大江広元の意見をよく聞いた事だということです。
磯田さんが指摘する日本史上の特筆点が承久の乱にある
①大転換に外圧が関わらない
➁大転換が日本の東側から起きている
➂朝廷の敵が勝つ
磯田さんの総括
心情理解の力のEQとリアリズムが結びついた人
政治の世界じゃ強いな
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