2022年10月19日(水)の「名探偵ポワロ」は「スタイルズ荘の怪事件」でした。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
今回の話はアガサ・クリスティの最初の作品でポワロにとって最初の事件になります。
いつも見ているポワロと色々違うところも楽しめます。
事件の概要
ヘイスティングスは友人のジョン・カベンディッシュに自宅のスタイルズ荘に招かれた。
スタイルズ荘の主人でジョンの母親であるエミリーは20歳も年下のイングルソープと再婚しており、イングルソープは資産家であるエミリーに献身的に接していた。
夫人が懇意にしていた雑用係のイビーがイングルソープの件でエミリーに警告すると、家を出ていくことになった。
ある日、エミリーは息子のジョンと大喧嘩をしていた。「あの女といかがわしい関係を結んでお金も渡している」という声がドアの外にいた使用人やジョンの妻のメアリーに聞こえていた。
その後メアリーが「見せてください」とエミリーと言い争う声をヘイスティングスが聞いた。
その翌日の明け方になってエミリーが急に苦しみだして亡くなった。持病の心臓発作かと思われたが主治医は毒殺を疑い警察に通報した。
事件現場でポワロが気づいた6つのポイント
①粉々のコーヒーカップ
(前日コーヒーを運んだシンシアをかばうローレンスが踏みつけた)
➁鍵が差し込んだままの書類ケース
(イングルソープのデスクに切手を借りに行き、イングルソープがイビーに書いた手紙を見つける)
➂絨毯のコーヒーのしみ
(エミリーがこぼした、検査できなかったが毒物は入っていなかった)
④濃いグリーンの糸くず
(園芸用の上着を着たメアリーがエミリーの部屋から慌てて出ようとしたときに袖がひっかかった)
⑤絨毯に落ちた白いろうそく
(エミリーの発作の声に驚いたメアリーが落としてしまった)
⑥空の睡眠薬の箱
(その日に飲んだのは睡眠薬ではなかった)
ポワロが指摘する『何らかの意味を持つこと』
①事件があった日の天気
(暖かく暖炉は必要なかったのに、暖炉に火を入れるよう使用人に頼んでいる)
➁イングルソープの風貌(変わった黒い服、あごひげ、眼鏡をかけている)
(変装しやすい特徴的な外見だった)
作られた手がかり
・イングルソープが薬局でストリキニーネを購入
(本人は否定、別人が髭を付けてイングルソープになりすまし購入)
(本人は薬局で毒物を買った当日の所在を明らかにしなかったが、ポワロが所在を明らかにした)
本物の手がかり
・屋根裏にある衣装箱から発見したイングルソープのヒゲと同じカットのヒゲ
逮捕されたジョンは裁判へ
事件当日の口論の後、エミリーが遺言書を書き換えたことから(暖炉の燃えカスから発覚)不貞を疑われ遺言書を書き換えられたジョンが自分に不利な遺言書を燃やし母親を殺したという嫌疑で逮捕され、裁判にかけらることになりました。
なぜかストリキニーネの瓶まで持っていることになっています。
お坊ちゃんなだけに、6週間辛かったでしょうね。
エミリーを毒殺した方法
現場から発見されたココアのカップからは毒物は発見されず、コーヒーカップは検査できない状態でした。
エミリーは心臓が悪く、ストリキニーネが入った強壮剤を飲んでおり、また睡眠薬も処方されていました。
犯人はストリキニーネを含む強壮剤に臭化カリウムが入った睡眠薬を入れ、沈殿反応により強壮剤の最後の一錠に致死量のストリキニーネが付着したのでした。
関係者を全員集めてショータイムの始まり!
ポワロの代名詞ともいえる、関係者全員の前で真犯人を暴く手法が今回も出てきます。
ヘイスティングスは訳が分からないながらも次々と到着するゲストをメアリーと協力して案内しています。
ポワロが気づいた事件のトリック
最初に事件現場を訪れた時にポワロは無意識にマントルピースの置物を整えた。
二度目に事件現場を訪れた時は書類箱が開けられており、ポワロは無意識にマントルピースの置物を整えた。
→ヘイスティングスはその時ポワロの手が震えていたと話す。
→犯人は書類箱から手紙を取り戻すもポワロたちがやってきたので、手紙を3つに切ってマントルピースの火付け用のこよりたて(火をつけるために細い紙をねじったもの)に入れておいた。
→ポワロが一度目に訪れた時から誰かが触って場所が変わったからポワロが(無意識に)直したことに気づいた。
ポワロが追い詰めた犯人とは?
犯人はエミリーの夫イングルソープと夫人の雑用係だったイビーでした。
二人は付き合っていて、財産目当てにエミリーに近づきました。
ポワロはエミリーが見てしまったイングルソープがイビーに書いた手紙を読み上げます。
ポワロ「手紙の宛名を読み忘れたでしょうか?失礼。
愛しいイビー」
イングルソープが警察に協力的でなかったのは、イギリスの法律では一度逮捕され無罪になると、二度と同じ罪で裁かれないというルールがあり、一度逮捕された後に、新事実を明らかにして無罪になることを狙っていたのです。
ポワロに所在を事前に突き止められたことで、この目論見は達成できませんでした。
薬局で毒物を買ったのはつけ髭で変装したイビーでした。
ポワロ曰く、イングルソープが書いた手紙ぐらいしか犯人という証拠はないそうです。それだけに事件当日、興奮を抑えきれないイングルソープが恋人に当ててわざわざ「いよいよ今日だ」という手紙を書いたのは本人からすると痛恨の極み、イビーからするとまさかということでしょう。
事件が解決し、イングルソープとイビーが立ち去った後、関係者は口も聞けない状態でした。
人間ショックを受けるとああいうリアクションになるんだなと思いました。
【番外編①】ポワロ登場とヘイスティングスとの再会
ポワロはイギリスに亡命したばかりでエミリーの計らいで家を提供してもらっており、ヘイスティングスと再会します。
初登場のポワロは全身黒いスーツ、黒くてつばの短い帽子で他のベルギー人と同じような真っ黒い衣装でした。
しかしヘイスティングスと事件解決に励むときのいで立ちはおしゃれでいつも通りって感じですね。
ヘイスティングスも戦時下ということで軍服を着ることもありました。
ポワロとヘイスティングスは最初から顔見知りで友人だったという設定です。
【番外編➁】ジャップ警部も登場!
ポワロはジャップ警部とも最初から知り合いだったという設定でした。
スタイルズ荘の事件で駆け付けたジャップ警部と亡命してきたポワロ、ヘイスティングスは最初の事件から3人揃っていました。
ジャップ警部のいで立ちは今まで見ていた警部とあまり変わりませんね。
ジャップ警部も最初からポワロの探偵ぶりを信じていたんですね、うれしいですね。
【番外編➂】ヘイスティングスがプロポーズ!?
ヘイスティングスが女性心理を理解していないのは最初からだったんですね💦
今回はスタイルズ荘に居候しているシンシアにプロポーズ。
まあシンシアも自身の境遇を相談するというヘイスティングスが勘違いしやすいパターンではありましたが。
結局シンシアには真面目に受け取られず、シンシアはドラマの最後でジョンの弟のエドワード・カベンディッシュと結婚することが発覚。
呆然とするヘイスティングスにポワロは優しく接していました。
ヘイスティングス「僕には女性が分からない」
ポワロ「元気をお出しなさい、モナミ。
そのうちこの嫌な戦争が終わったら、また一緒に仕事をしましょう。
ポワロが色々教えてあげますよ。」
今回は3人がイギリスで手掛けた最初の事件ということで長編だったので見ごたえがありました。
でもやっぱりポワロにはロンドンのホワイトヘイブンマンションが似合いますね。
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