2022年12月29日(金)の「NHKスペシャル」は「未解決事件・松本清張と帝銀事件 第二部 74年目の真相」でした。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
帝銀事件とは? (昭和23年1月26日発生)
帝国銀行に現れた男が銀行員らを毒殺した事件。
共同井戸で赤痢が発生したので赤痢の予防薬を2種類飲むよう指示、自らも飲んで実演した。
その後金と小切手を奪って逃走した。
8歳の子どもを含む12人が死亡した。
初のモンタージュ写真が作られた。
著名な画家、平沢貞道が犯人として逮捕される。
・横山大観の弟子で事件当時は現場近くに住んでいた
・事件直後出所不明の大金を得ていた
・小切手を換金した時の筆跡が似ていた
・アリバイは証明されなかった
・物的証拠はなく自白のみ(のちに無罪を主張)
裁判では有罪で死刑判決、凶器は青酸カリ、目的は金とされる。
・生存者の中に彼ではないという意見がある
独自入手した映像が語る真相
毒をどう入れたかについての映像(昭和23年10月1日撮影)を検証
・毒を入れたピペットの持ち方が違う(生存者の証言より)
・毒の飲ませ方が違う(犯人は下で歯を覆うようにして飲ませたと生存者の証言)
・2つ目の毒物を飲むまでの時間が違う(犯人は1分だったと生存者の証言)
事件の全貌をしる捜査一課の刑事が残した捜査手記2289ページを入手
(平沢逮捕までの7か月の捜査記録)
・事件当初は似寄りや通報関係の捜査をしているが、後半は旧日本軍関係者への捜査をしている
・事件現場に残された名刺の人物は旧日本軍の防疫給水部に関わっており、その部隊は毒物の研究もしていたらしい
・その防疫給水部と関係がある部隊の中を捜査するうち731部隊が浮上
・731部隊の部隊長は自分の部下にいるような気がすると語る
・部隊長から青酸カリを使った人体実験についてや本部配属の憲兵Aの存在を知る
・遅効性の毒物の正体を探るうち、登戸研究所の元幹部から未知の毒物(青酸ニトリール)の存在を知る
・その薬は2度持ち出されたことが分かっている
・二人の元陸軍将校を聴取しようとしたときGHQの存在をほのめかし、苦言を呈した
→この1週間後に平沢を逮捕
GHQの考えが反映?
・捜査について旧日本軍関係者を捜査していることをメディアが扱わないよう要請
・731部隊のデータを独占入手する代わりに部隊について免責する考えがあった
・部隊の末端の人間の免責について分かってきたのが帝銀事件の最中であった
・登戸研究所の元幹部も召喚されている
番組が入手した元憲兵たちの名簿を入手
・憲兵Aは昭和49年に亡くなる
松本清張が帝銀事件に疑問を持った理由
・彼がコルサコフ症候群(記憶障害や虚言などが特徴)という病気を持っていたこと
・生存者の証言などから事件に疑問を持つ
・GHQの絶対的存在を理解している
松本清張は事件について講演会で意見を述べるなど積極的に発言しています。
戦争を生きた清張だから語れる内容だと思います。
★★★★★★★★★
事件を知ると、戦後の混乱期の日本の様子がすごく伝わってきます。
そんな中で逮捕された男について疑問を呈す清張もまた戦後を生きた中で事件を見過ごせなかったのだと思います。
NHKスペシャル 土曜夜10時~ NHK総合
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