2024年10月26日(土)の「新プロジェクトX」は「オウムVS科捜研~地下鉄サリン事件 世紀の逮捕劇~」でした。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
1995年3月通勤ラッシュの電車内に猛毒のサリンが撒かれた。
死者14人負傷者6300人が出る大惨事となった地下鉄サリン事件。
化学兵器を用いた日本の犯罪至上最悪の無差別テロ事件。
オウム真理教の教祖麻原彰晃の世紀の逮捕劇の裏には57日間に及ぶ
特別捜査チームの戦いがあった。
警視庁科学捜査研究所(科捜研)はゆったりしていた?
・器材は古いものが多かった
・難しいものは民間に任せればいいという人もいた
「証拠の王様は自白だ」と言い切る捜査員がいたわけですよ
じゃあ鑑定結果はどうなのと思っちゃいますよね
科捜研 大下さん
科捜研で技術を磨く服藤さん
・上司に反対されながらも前例にない鑑定に挑戦した
・職場から浮くようになり昇進試験には二度落第した
・勤務の傍ら35歳で毒物研究で博士号を取得した
地下鉄サリン事件発生
・1995年3月20日午前8時過ぎ、丸の内線や日比谷線など5車両に
謎の液体がばらまかれた
・めまいや呼吸困難を訴える人で溢れかえり大混乱となった
・事件発生から1時間後に鑑定依頼がきた
・機械にかけるとサリンという結果が出る
サリン
・ナチスドイツが化学兵器として開発した神経ガス
・少量でも吸えば死に至る猛毒
いきなりサリンという表示されまして 慌ててしまいまして
口の中がすごく苦くなったような そんな記憶があります
科捜研 大下さん
警視庁刑事部に捜査本部が発足
・オウム真理教はすでに拉致や暴行の疑いで重点捜査対象となっていた
・捜査幹部の中では毒物を生成していることが疑われていた
しまった オウムにやられてしまった
警視庁 捜査幹部 廣畑さん
オウム真理教への強制捜査が始まる
・3月22日全国の教団施設を強制捜査が入る
・大量の薬品は見つかったが凶器のサリンを見つけることができない
・教団はサリン製造を強く否定した
・逮捕のためにはオウムの科学実験の全貌を暴く必要がある
科捜研に協力依頼が入る
・化学にまつわる押収資料の読み込みをしたいと進言した
自分は毒物が専門で ガスの毒性を研究してきた人間なんだから
これを解明できるのは私だろうと
科捜研 服藤さん
・長期に渡り様々な化学実験を繰り返してきた形跡が次々と出てきた
・それを上に報告するともっと捜査を助けてほしいと対応が変わった
・3月末服藤さんをリーダーに押収物を解析する化学班が発足
科学の目で治安を守ることができるんだよ
そういうことができるんだよということを証明する絶好のチャンスだと思った
科捜研(化学班) 大下さん
・教団施設から押収された数百の段ボールに収められた信者のメモ、
実験ノートの資料を読み込んだ
・フロッピーディスクから『ブロックダイヤグラム』と記載された
薬品を合成する流れが体系立てて記載されていたデータを発見、
最終成分はアスタリスク表示だったがサリンで間違いなかった
サリンを生成したという証拠となるもの
・サリン製造を実証するアイデアはダイヤグラムには記載されていない
一次分解物が証拠になるのではないか
・繊細な化学物質であるサリンは熱や空気に触れるとすぐに分解してしまう
・その時ある特殊な物質(メチルホスホン酸モノイソプロピル:通称モノイソ)が
発生する
⇒サリンを生成していればモノイソが見つかるはず
・現場の証拠の収集は基本的に鑑識が行うが化学班が派遣された
化学班がサリン生成の証拠を探す
・上九一色村第7サティアンの内部は巨大な装置で埋め尽くされていた
・設計図を読み込んでいたので製造工程がわかり細い階段の下に
最終工程の部分があった
・釜の内部にこびりついた付着物をとり、周辺の実験室も調査した
・隣接された実験室の器具からモノイソが検出、最終工程の釜からも
限りなく近い物質が検出された
・薬品の入手経路、製造工場の分析を行った
⇒事件から一か月状況証拠は集まった
サリンを作った人物の特定と組織ぐるみの犯行を明らかにする
取り調べの最重要人物:オウム真理教化学班責任者土谷正実
・取り調べに黙秘する
・寺尾捜査一課長から化学班の服藤さんに「土谷と話せませんか?」と提案があった
黙秘している被疑者に対して科捜研の職員が(取り調べ室に)入って話をするというのは異例ですね
警視庁捜査幹部 堀川さん
土谷と対面した服藤さん
・服藤さんと二人だと話したが記録係が入ると何もしゃべらない
・長い沈黙の後、紙にサリンの5工程ある合成の式を無言で書き始めた
土谷正実と私との接点はこのサリンの反応式しかないと思ったんですよね
科捜研 服藤さん
・2時間以上書き続けて反応がなかった、その時ある式を思い出した
非常に特異的なもので世の中に存在しない 土谷だけが考えている反応式だと思ったんですね 土谷にこれを書いてみせてみようと
(自分が書いた式を見て)身を乗り出してまじまじとずっと見るようになって 天を仰いで目をつぶるようになったんですね
科捜研 服藤さん
・対面して6時間後、心が揺れる様子があった
・後日自白した(自らの手で実験の詳細を精密に書いた)
⇒サリン製造の科学的根拠と自供、実行犯の特定に目途が立った
5月16日麻原逮捕となった
彼(土谷)は道を踏み外して闇のほうへ行ってしまったけれども
何とかそれに行くまでに誰かが彼を理解して社会に貢献するチャンスを与える場面がなかったのかなっていうことは感じましたね
科捜研 服藤さん
・10月末化学班は科捜研に帰った際、50人を超える捜査官が敬礼し頭を下げた
オウム事件のその後
・警視庁は化学捜査官という新たな役職を設置し警視と同じ捜査権が与えられた
⇒初代化学捜査官となったのは服藤さんだった
・事件から30年科学捜査研究所は当時の2倍近い人員を擁するようになった
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同じ化学者として、このような事件を起こしてしまった土谷に対する
服藤さんの思いはとても深いものがありました。
化学班にいた人たちは今でも精力的に仕事をしていることを思うとなおさらです。
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