２０２３年６月７日（水）放送の「ナイルに死す」を見ました。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
「ナイルに死す」は有名な作品で映画版もありますが、今回レビューするのはデビット・スーシェ主演のドラマバージョンです。
今回の作品は長編でオープニングもいつもと違い凝ったものになっています。
冒頭、いきなり愛し合う男女のシーンが登場しますが、最後までドラマを見ると結局この時が一番幸せだったという前振りが切なかったです。
事件のあらすじ
資産家で美しいリネットは友人の婚約者であったサイモンと結婚したが、恋人を奪われたジャクリーンはリネットの新婚旅行の先々に現れ、いやがらせをしていた。
ナイル河クルーズである晩、酒を飲み激高したジャクリーンはサイモンに発砲し、サイモンは足を撃たれた。ジャクリーンは居合わせたコーネリアに一晩中見守られる中、自身の船室で寝入ってしまった。サイモンは同乗した医師のベスナーの船室で治療の後、薬で寝入ってしまった。
翌朝リネットが頭を撃たれて亡くなっているのが発見された。
事件の日に起こった出来事
・何かが落ちる水音を聞いている（アラートン夫人、ティム・アラートン、ファーガスン、スカイラー夫人）
・船室を歩く音（ティム・アラートン）
・眠気に襲われるポワロ
・リネットの真珠が紛失
ポワロが気づいた事件の謎
・ジャクリーンが使った銃が無くなったこと
・リネットの部屋のマニキュアの瓶がひとつほとんど無くなっていたこと
・河から見つかった銃はストールに巻かれ穴が開いていたが、ストールで音がしないように穴が開くような発砲は起きていない
今回の事件は殺人事件に関する事柄とそれとは関係ない事柄が絡み合っています。
殺人事件に関係ない事柄その①リネットの真珠
コーネリアが伯母のスカイラー夫人が盗癖のある人で真珠を持っていたので返しに来たが、それはレプリカでした。ポワロは最近宝石盗難事件が起きていて、それはリネットの友人であるジョアンナの周りで起きていること、事件が起こったパーティーにティム・アラートンが出席していたこと、クルーズ船でレプリカにすり替えれたことから、ティム・アラートンがリネット殺害当日に彼女の部屋に侵入し真珠をすり替えたことを突き止めます。ティムは犯行を認めましたが、侵入した時リネットが生きていたかどうかは分からないと証言します。
殺人事件に関係ない事柄その➁事件当日何かを河に捨てたロザリー
スカイラー夫人はロザリーが河に何か捨てていたと証言しますが、それは母親のサロメの酒瓶でした。サロメはアルコール中毒でロザリーはそんな母親からアルコールを遠ざけようとしました。
またロザリーはティム・アラートンの不審な行動に気づいていますが、彼に恋心を持っていたため何も証言しませんでした。
ティムにアピールするものの、彼は彼女の気持ちに答えることはありませんでした。
殺人事件に関係ない事柄その➂銃を殺人に使われたペニントン
リネットの遺産管理人であったペニントンはリネットの遺産に大損失を与えていました。リネットが気づく前に元に戻そうをしていました。
自身の銃がサロメ殺害に使われますが、自分は関係ないと証言します。
殺人事件に関係ない事柄その④ファーガスンの正体
ファーガスンは共産主義者で誰にでも議論を吹っ掛ける人物でした。しかし実は由緒正しき爵位を持つ資産家ですが、周囲にはそのことを隠していました。船室の捜査の際に、紋章が入った指輪をポワロに見られ、身分が発覚してしまいました。コーネリアに好意を持ちプロポーズするものの、コーネリアは医師のベスナーとの結婚を決めました。
リネット殺害の後起こった第二・第三の殺人
２番目の被害者：リネットのメイドのルイーズ
ルイーズは事件当日、リネットの部屋に入る犯人を見た、そのことで犯人を脅したためナイフで殺害。
３番目の被害者：サロメ
サロメはメイドのルイーズ殺害当日、ルイーズの部屋の前を通り酒瓶を受け取っていた。その時ルイーズの部屋に入る犯人を見た、そのことをポワロに伝えている最中部屋の外からペニントンの銃で狙撃された。
サイモンの船室で謎解きショー
犯人はサイモンとジャクリーンでした。彼らの愛は続いていて、お金のためにリネットの資産を狙いました。
ジャクリーンはサイモンの足に向かって発砲しますが、それは当たっておらず、サイモンがマニキュアの瓶に隠したインクで出血を装いました。興奮したジャクリーンがコーネリアたちによって出ていき一人になると、サイモンは靴を脱ぎリネットの船室に走り、眠っていた彼女を撃ち殺します。その後戻ったサイモンは銃をストールに巻き足に発砲、ストールに銃と血？のついたハンカチをくるんで開けた窓から海に投げ入れました。
メイドのルイーズがサイモンに事件を目撃していることを匂わせたため、ジャクリーンによってナイフで殺害しました。サロメが興奮気味にルイーズについて話しているのをサイモンが大声で反応し、ジャクリーンに知らせます。瞬時に悟ったジャクリーンがペニントンの部屋から銃を盗み、サロメを射殺しました。
悲しい結末
ナイル河クルーズは終わり、搭乗者はそれぞれ降りていきます。最後に担架で運ばれるサイモンとジャクリーンの姿がありました。
船から降りると警察が待っていました。ジャクリーンはポワロに最後にサイモンにキスがしたいと懇願します。
サイモンにキスをするとすばやく銃で彼を撃ち、自分も撃って自害します。
銃は２丁あり、手荷物検査の時、ロザリーのバッグに隠していました。そのあと口紅の話でロザリーと盛り上がっている時に銃を取り返していました。
ポワロはそのことに気づきましたが、特に何もしませんでした。
レイス大佐「知っていて？」
ポワロ「単純には割り切れません」
ポワロは息絶えた若い二人を見ながら少し顔をしかめました。
★★★★★★★★★
ラストシーンで息絶えたサイモンとジャクリーンの二人の様子がなんとも切なかったです。サイモンはジャクリーンの顔を探る様子でしたが、最後の瞬間は悟ったように見えました。この事件のキーパーソンはジャクリーンで、頭が切れ、決断力がある女性でした。最後は自分の手で終わりにする気概がすごいと思いました。
きっとそんなジャクリーンの様子をポワロが感じとったし、もしかするとジャクリーンも気づいていたのかもしれません。
船上では殺人以外にも恋愛模様があり、人生がありで、お腹いっぱいになったお話でした。でもラストシーンが美しすぎて、それがなんだか余計な感じもしました。
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