２０２３年７月３０日（日）の「NHKスペシャル」は「ヒマラヤ“悪魔の谷”～人跡未踏の秘境に挑む～」を見ました。
以下、まとめと感想と少しネタバレです。
ヒマラヤ山脈（ネパールのアンナプルナ山群）にあるセティ川の源流地域は
今だ地層の研究ができていない。
なぜなら標高３５００メートル地点にきわめて深い谷（セティ・ゴルジュ）がある。
幅１０数メートル、深さ２００メートル以上。
その谷底を見た人はいない。
その場所に挑む２人の日本人
渓谷探検家 田中彰さん（５０歳）：流れている川の中で目的方向に進む技術が高い
渓谷探検家 大西良治さん（４６歳）：クライムの技術が高い
２０２２年１１月ヒマラヤ入り。
カメラクルー、探検家の２人、専門家がタッグを組んで挑戦することになった。
ヘリコプターでセティ・ゴルジュを確認に行くと、辺りは切り立った岩ばかりだったが、奇跡的にヘリを止められるわずかな平地を見つけた。
標高３１８０メートルにベースキャンプを張った。
まずはゴルジュ周辺の調査に取り掛かる。
セティ・ゴルジュの地形
アンナプルナⅢ（山の名前）とアンナプルナⅣの間のふもとには針山と呼ばれる無数の岩山がそびえている。
針山の先にベースキャンプがある。
ゴルジュ（峡谷）は針山の間にあり、ベースキャンプのそばを通り、下流へと繋がっている。
ゴルジュは一番上流部分が最も幅の狭い『最狭』ゴルジュ、続いて下流の倍の深さがある『大ゴルジュ』、そして一番下流のゴルジュの３パートに分けることができた。
まずはベースキャンプに近く、比較的浅いとされるエリアから調査を開始することになった。
＜ベースキャンプ近くの浅いエリアの調査＞
探検家の２人がカメラを装着してセティ・ゴルジュの谷底へ降りていった。
比較的浅い場所だったが、谷底まで２６０メートル、３０の滝が合流していた。
２０２３年２月ヒマラヤ入り。
ゴルジュの上流部分（標高３９００メートル）にやってきた。
アンナプルナⅢ（標高７５５５メートル）とアンナプルナⅣ（標高７５２５メートル）に挟まれた場所。
ヒマラヤが凍りつき、沢の水がもっとも少なるなる２月を選んでやってきた。
雪に覆われた急斜面（４００メートル）を一気に下りると
針山の間にゴルジュの入り口が見える。
＜『最狭』ゴルジュの調査＞
方法：入口付近でロープを使っており、谷底の流れに沿って下り、出口付近にあらかじめ張ったロープから上がる
当日の気温は－４度だが、太陽の光で氷が溶けだしている。
制限時間は日没まで、暗くなると凍死の恐れがある。
しばらくすると深さ６０メートルの滝が現れた、下は見えない。
地層は規則正しい縞模様で、それはかつてヒマラヤが海の底にあった証拠。
下に降りると谷の幅は１メートル、落石があり、長くいることはできない。
ロープを使って、谷底を進む。
突如として壮大な景色が広がった。
『大ゴルジュ』の入り口だった。
ここで『最狭』ゴルジュの調査は終了した。
＜『大ゴルジュ』の調査＞
まず大ゴルジュの出口付近にある大滝にロープを張る、岩盤が固いためロープを張るのに適した場所だった。
大ゴルジュの上を歩き、大滝を目指す。
堅い岩盤の上に崩れやすい針山が乗っているため、大ゴルジュの上は歩きにくく、滑ったら命はない。
大滝近くに到着すると１００メートルのロープを４本つないだ。
すると突風が吹いて探検家の２人のいる場所を直撃した。
この日は防水装備をしておらず、低体温症と戦いながら、なんとか脱出した。
別の日、スタート地点からロープを伝って下りていった。
最後は滝の中を通って、谷底へ到着した。
谷底を歩き、ゴール部分のロープから４００メートル登ってゴールした。
目標は日没までだったが、実際には夜の８時過ぎに２人は戻ってきた。
踏破した３．５キロで発見した滝は７５だった。
アンナプルナ山群の地形の研究
京都大学名誉教授 酒井治孝さん
ヒマラヤ山脈がインドがアジアにぶつかる大陸衝突によって海底が隆起してできた
押し合う大地の力がヒマラヤに多くの断層を生んだ。
セティ・ゴルジュの周辺は断層とおぼしき地形が密集していることが分かった。
セティ・ゴルジュは断層である可能性がある。
雨や雪が断層（割れ目）に流れ込み、深い谷を刻んたと考えられる。
針山の成り立ちについての酒井教授の仮説
アンナプルナⅢの山のない部分（コル）のすぐそばから
針山が始まっているため、山体崩壊が起きたのではないかとみている。
★★★★★★★★★★★★
探検家の田中さんと大西さんの登山スキルの高さに感銘を受けました。
すごい場所なのですが、二人ともわくわくしている様子がよく分かりました。
この２人でないと、とても踏破できなかったなと思います。
２人は４年間、今回のために準備してきたそうです。
完璧な準備がこの踏破を生んだのだなと思いました。
地球にはまだまだ人が入ったことのない場所があって、分からないことがあるんだということを改めて感じました。
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